ラプンツェル、ラプンツェル
その髪を垂らしておくれ。物語の幕を開けておくれ。 もう終わりにしようか? 銀の針 目は閉じられていた。 手にした細い細い銀の針、いや、針と呼ぶのはおかしいかもしれない。 なぜならその銀の針は女の身長よりも遙かに長く、針という長さではなかった。 銀の針をねらいを定めて放る。 硝子の地球を穿つ。 ひびも入らず、割れもしない。 女がため息をつく。 「もう終わりにしたい」 凍った想いは、未だ目を開けさせてはくれない。 偽の花の香がまた感情を鈍らせる。 ふっとしたことで揺らぐその心が憎い。 細い銀の針は硝子の地球に刺さったまま何も言わない。 何度銀の針を刺しただろう。 その度に哀しいため息が漏れていく。 どうしたら、硝子の地球は砕けるんだろう。 砕けてくれたら、きっと手に入るのに。 でも、もう終わりにしたいのかもしれない。 ため息をつくと、また側に銀の針が転がっていた。
by cafestar
| 2006-08-21 01:34
| ラプンツェル
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