ラプンツェル、ラプンツェル
その髪を垂らしておくれ。物語の幕を開けておくれ。 「どうせ」なんて言わないで? きっと 空へのばした手を下ろす。 窓の外では哀しいぐらいに明るい夜空に星が瞬く。 手を伸ばして拒絶されるのが恐くてずっとずっと避けていた。 今も泣きそうな位に手を伸ばそうとしている。 ううん、違う。 もう涙は頬をつたっている。 恐いから?哀しいから?一縷の期待? 何だろう。この感情。 確かに手で掴める自信がない。 手が震えそうになって、手を下ろす。 目を閉じて想うことはたった一つ。 伸ばした手に辿り着く先があること、届くこと。 夜空の星は眩しすぎて、瞼を閉じても明るく感じる。 星の名前なんて知らないけれど、心をざわめかせる。 耳に聞こえるのは、何時かの風の向こうの音色たち。 私をせかすように風は音を運んでくる。 ふっと手をあげてみる。 星は気がつかないで、何時もと変わらずに瞬き続けて、 優しく冷たい光を私にみせつける。 また手を下ろす。 空を見つめられずにうつむいてしまう。 涙が頬をつたい続ける。 何時かこの想いも逝ってしまうから、それまでに言わなくちゃ。 …きっと言えるよね?
by cafestar
| 2006-06-25 23:21
| ラプンツェル
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