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たまにRapunzelや何かを書きます…多分。

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Rapunzel-3つの欠片Vol2
気が向いたときに書く小説。
だからラプンツェル(?

書きたくて書いているだけなんで、批判意見いりませんw

珍しく長いです。そのうち続きます…。書きたいので…。






3つの欠片Vol2


白い扉、白い雪の大地にぽつんと建っている洋館、家自体も
白く、屋根だけが漆黒の妙に歪んだ家。
アインとニィは会話を交わすこともなく、その洋館へ歩いていく。

さっきまでニィがみつめていた空からは雪が降り、空の青が
白く染まり、凍える世界がさらに冷たく冷えていくようである。
アインもニィも寒さなど感じぬといったように、何も防寒着も
着ていないし、足下もパンプスとローファーであった。

この世界は何処までも凍っているのに、温度を感じさせるような
ものは何もない。そう言いたげだ。

アインが扉に力を加えるでもなく、軽く押すと扉は音もなく開いた。
ニィは何も言わずに、アインが開けてくれた扉をくぐり、中へとはいる。

「あら、戻ってきたの。アイン、ニィ」
アインも扉をくぐり、中へ入ると、何処からか声がした。

「ふん。相変わらずご挨拶だこと。高いところがお好きなようね。スゥ」
ニィは何処から声がするか分かっているのだろう。
大きな階段が大広間の奥にみえる。声はそこからしたのだ。

軽い足音がして、階段の踊り場に人影が浮かび上がる。
そこには、スゥと呼ばれた女性が立っていた。

胸元まで流れる蒼い髪、アインより薄明るい茶色の瞳、
翡翠色の蝶が描かれた灰色の着物を着、香木の扇子を手にしている。
年齢はおそらく18か19、だが、同時に20代のようにも見える。
それは、彼女から滲み出るどこか妖しい雰囲気によるものだろう。

アインとニィはよく似ている。姉妹以上に。何処か懐かしいぐらいに。
しかし、現れたスゥはアインに似てはいるのだが、ニィには全く似ていない。
アインにあって、ニィに決定的に欠けているものがあるせいだろうか。

踊り場のスゥと大広間のニィがお互いを睨み合う。
アインは、二人のやりとりをハラハラしながらみつめている。

「ニィ、貴女も変わらないわね。…自分で時をとめた貴女が
変わるはずが無いわね。それで空なんかみつめて答えはでたのかしら?」

「快楽だけを求め、己を見失う貴女に言われても、何も答えること
なんて無いわ。それに“空なんか”という貴女が一番空に恋をして
形而上の存在に甘んじて、正面からぶつかろうとしていないわね。」

「答えはでたか、と聞いているのに、それについては答えないのね。
答えはでなかったと解釈しておくわ。そして、形而上と言うけれども、
貴女が一番形而上の存在ではないかしら?永遠の14歳の少女のニィ?
その姿のまま、何時まで存在し続けるつもりなのかしら?」

「自分が創り出した蒼い髪と薄い茶色の瞳で、何処までも偽りの自分を
演じ、その容姿とからっぽの頭で周りを誑かし、毒々しい色彩を放つ毒蝶、
それが貴女ね。スゥ。貴女こそ“女”になった19歳のまま、姿を止めて
見苦しい限りね。そんな玩具誰も愛さないわ。」

「ふふ、少女には、愛がわかるのかしら?さて…結論はでてないようね。
何も変わってはいない。話をするだけ無駄だわ。私は失礼するわ。」

ニィの返事など聞く気も無いというように、スゥはさっさと階段を上り、
2階の部屋へと行ってしまった。

ずっと成り行きを見守っていたアインがようやく口を開いた。
「ニィ…」

「アイン、貴女が言いたいことは分かっているわ。“時”が近づいていると
そう言いたいのでしょう?そして、スゥもそれは分かっている。
だから、因果を辿って接触を計り、この洋館を“舞台”としたこともね。
そして、スゥが私にとってカウンターパートであるように、スゥにとっても
私がカウンターパートであることも分かっているわ。…そういえば、
アイン貴女はどういう役目なのかしらね。」

「ニィ、私は…“器”よ。分かっていて言っているのでしょう?
だから、貴女とスゥがこうして反目しあうことになっているのだから。」

「確認してみただけよ。…一応ね。さて、部屋に行くわ」
そういって、スゥ同様ニィもさっさと行ってしまった。

大広間に取り残されたアインは小さな呟きを漏らし、スゥもニィも
使おうとしない居間へと脚を向けた。

もちろんアインの呟きはニィにもスゥにも聞こえることは無かった。
…ただ一つの存在を除いては。

アインはこう言ったのだ。
「…確かに私は器よ。でも同時に中身を入れてしまえば、
器が一番意味を持ちうるのよ。2人とも気がついてないみたいね。」

何処かで何かが蠢き、寂しげに笑ったような気配がした。
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by cafestar | 2005-11-24 23:07 | ラプンツェル
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CafestarのAdmin@エヴァンゼリンが書き綴りまする。時に日常、寓話、映画…と徒然なるままに。
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