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たまにRapunzelや何かを書きます…多分。

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Rapunzel-天使には羽根がある
気が向いたときに書く短文小説。
だからラプンツェル(?

なお、タイトルと中身は関係あったりなかったり。
最初の一文をつかっているだけ。

書きたくて書いているだけなんで、批判意見いりませんw






天使には羽根がある


天使には羽根がある。そう信じられている。
そして、天使を僕はみて、少しの間だけ一緒にいた。
今も瞼の向こうには、白い羽根と舞い落ちてきた時の情景が浮かぶ。

僕はあの時、海へ来ていた。他に誰もいない海へ。
都会に疲れ、愛していた人は側を離れ行ってしまった寂しさを
少しでも薄めたかった。海をみて、ただ海をみていたかった。

砂浜に座り込み、朝焼けを見ていた僕の目の前に不思議な風景が
広がっていったのは、朝焼けが一番強くなって、心がときめきを覚えた時だった。

ゆらゆらと重力など感じさせずに白いものが舞い落ちてくる。
小さく何が落ちてきているかなど分からなかった。
それが人らしき形をとったのは、ようやく視界が朝焼けになれたころ。

人だと分かった僕は走った。服が濡れることなんて気にしてもいなかった。
そして、海に堕ちたその人を水しぶきとともに抱き上げた時に気がついた。

「背中に何かある」

白いゆったりとした服の中に確かに背中…貝殻骨の近くに何かあった。
…左側にだけだったが、右側には何もなかった。
抱き上げる腕に不思議と力がはいる。砂浜へ戻り、横たえる。

目を覚まさない。膝をつき顔を近づけ息をしているか確かめる。
息をしていない。そして海の中では気がつかなかったが身体に温度が無い。
…死んでいるのか?と思った時に、その人は目をあけた。

「まだ消えていない…」
小さな呟きが聞こえたような気がする。でも、その人の唇は動いていない。
頭に直接聞こえてきたようにも自分にはそう聞こえたようにも思えた。

「私もうすぐ消えますから、このままほっといて下さい」
また言葉が聞こえた。はっとしてその人をみると、横たわったままこっちを見ている。
消えるとは何のことを言っているのだろう。

「背中気がついてるのですね。そうです。この背中には羽根があります
…いえ、ありました。」

僕の心がみえているのだろうか。僕が一番不思議に思っていたことを
さらっと言葉にして、僕の心の水面に石を投げ込んできた。

「まさかこうして最後を人に見られるとは思いませんでした。
もう身体が透けてきたでしょう。最後だからお話してしまおうかな」

声もない僕のことなどどうとでも思わない様子で透明になってきたその人は
唇を動かすこともなく、水晶のように透き通り始め、朝日を身体に通す。

「私は貴方たち“人”がいうところの天使です。
もう片羽根しかないですが、これは私が罪を犯したからなのです。
天使には性別も無く、ただ“存在”に対して奉仕のみする存在です。
いわば、愛玩人形のようなもの、それ以上の感情など無いのです。
ただ、私のように極まれに“愛”という感情を覚え、“存在”以外を
愛してしまうものが現れるのです…」

何を言っているか全く分からない。愛することが罪であり、
愛する対象は唯一無二のものだけだというのか?
身体の輪郭が次第に太陽光と見分けがつかなくなってきたその人は
僕の返事など期待せずに、続ける。

「私は”存在”以外を愛してしまったのです…。そのため片羽根を切り落とされ、
地上へ落とされ溶け消える罪を与えられました。あってはならないこと故に、
今こうして溶けていくのです。その場面を貴方はみてしまったのです」


「どうして僕にその話をするのですか?」
その人の言っていることが嘘だとは思えないし、思わなかった。
心の中で、静かに消えて逝くその人に問いかけてみた。

「貴方が私と同じ気持ちを心にもっていたからですよ…人は良いですね…」
そう言葉を紡ぎ終わると、その人は完全に空気と同化した。
太陽は昇りきっていた。何故か恨めしく感じ、立ち上がる。

服が濡れていることにようやく気がついた。
都会へ戻ろう。何故かそう思った。
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by cafestar | 2005-09-22 23:51 | ラプンツェル
<< 私的連絡w ご冥福をお祈りします。 >>



CafestarのAdmin@エヴァンゼリンが書き綴りまする。時に日常、寓話、映画…と徒然なるままに。
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