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(最初の数行以外はクリックしないと開かない機能)で書いていきます。 では、おつきあいよろしく御願いします。 なお、内容はかなりシビアです。(シビアにどんどんなっていきますw) 読みたい方だけMOREをクリックして読んでください。 読んで不快になっても私は責任は負いません。 *なおもちろんですが、転載禁止です。 *気合いが入った結果、無駄に長いです(ヲイw 薄氷の舞台-第3章2 レイチェルがテーブルに置いていった手紙をヴィンセントが手に取り、封筒から取り出した。皆を見渡して努めて静かに言葉を紡いだ。 「みんな誰も開けたくないって顔をしているな。まあ当然だろうな。薄々感づいていたことが証明され、この村が背負っているもの、呪うべきものを持たない者が幸か不幸か生まれ出でること、そしてその幸運な者が自分じゃないのだからな」 「それは貴方も一緒でしょう。」まだ幼さを残した声が響いた。…コンラッドだ。 「…でも僕はこう思います。今信じられる状況ではないのならば、せめてこの村の血を持たない者がいてくれれば、少なくともその人のことだけは信じられる。…僕ら自身にとっても幸運なことだと、ね。」 「そうとも言えるな。さて手紙を読み上げるぞ。」ヴィンセントは朗々とした声で手紙を読み始めた。彼は妙なる美声の持ち主であった。しかし、この村に置いてはそれも無意味で無価値なものである。 今こうして小さな舞台を得た彼は、唄うように手紙を読み上げていく。手紙には、レイチェルが言ったように、村長でもこの村の血筋でもないものとも間にできた子供であることが書かれていた。唯レイチェルに対して住まなかったという謝罪の言葉と、偶然この村の歴史を知って、この村が恐ろしい血を餅、百数十年に一度人でありながら人でないモノが出現する事を知り、自分が村長の子を産んだとしたら、その「何モノ」かにあってしまうかもしれないという恐怖に脅え続けた末に村長を騙し通したことも書かれていた。 読み続けるヴィンセントの声に皆耳を傾けていた。そして、手紙の最後の部分は古びた手紙のせいなのか、理由はわからないがその部分だけ滲んでいて読めなかった。 「…以上だ」ヴィンセントは手紙をたたみ、テーブルへ置き、窓の外へ視線を走らせる。雪は変わらずに降り続けている。先ほど少し雪が崩れるような音がした気もしたが、気のせいであったようだ。 「俺が今読んだ内容が信じられないやつは自分でみてくれ」 そう言い捨て、ヴィンセントは台所へ行こうとした。 「どうしたの?ヴィンセントさん。」 気がついたイヴリーンが椅子から立ち上がりながら尋ねる。 「とりあえず茶でも飲みたいと思ってね。」 包み隠さずに答え、ヴィンセントは少し笑って台所へ去っていった。 「…私も手伝ってくるわ。」そう言い残しイヴリーンも台所へ消えた。 「素敵な声でしたわ」 続けて台所へ入ってきたイヴリーンがヴィンセントに微笑みかけながら言う。 「……」照れたように何も答えずに、御茶を入れる準備をするヴィンセント、小さな想いが交差していた。 「お手伝いしますわね。みんな貼り付けた顔をしていて…飲み物でもあれば少しは気が安らぐかもしれませんね。」努めて明るく話すイヴリーンを見て、ヴィンセントはふと思った。 (あの手紙…レイチェルの母が偶然知ってしまったという『百数十年に一度あらわれる何モノ』とな何なのであろう…以前、その『何モノ』かがあらわれた時に生きていた者が生きているはずはもちろんない。それを伝承として残すために村長がいる。やはり全ては本に書かれているのであろうか…) 思考の深みにはまりつつあったが、御茶を用意し終わった二人は、皆が待つ居間へ香ばしい湯気をたてる御茶を運んでいった。 そこへ丁度レイチェルとフェリックスが幾分あおざめた顔をして戻ってきた。全身雪まみれで、急いできたのは荒い息を吐いていた。 「………手紙読んでくれた?」雪をはらいながらレイチェルは皆をみた。 「ああ、読んだとも。まずは暖炉の側へ行って暖まりなさい。二人とも…。」 「ありがとう、ルートヴィッヒさん」何やらふらついて居間にも倒れそうなレイチェルを支えながら、フェリックスが答えた。
by cafestar
| 2005-06-17 22:12
| 薄氷の舞台
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